インボイス制度とは?フリーランスへの影響は?

公開日:2022/11/15

インボイス制度

2023年10月から始まる「インボイス制度」。なんとなく聞いたことはあるけど、具体的にはどのようなものなのかわからないという方は多いのではないでしょうか?インボイス制度は、フリーランスの方に大きく影響します。そのため、事前に理解して早めの対策が必要です。ここでは、そんなインボイス制度について解説します。

インボイス制度の具体的な概要

インボイス制度とは「インボイス」と呼ばれる適格請求書を使って仕入税額控除を受ける制度です。取引の際、受注元が発注元にインボイスを交付すれば、発注元は仕入税額控除ができます。インボイスは税務署に登録した「インボイス発行事業者」のみ交付できます。

また、インボイス発行事業者に登録できるのは、年間の売上が1,000万円以上の「課税事業者」だけです。つまり、受注元がインボイスを交付できる課税事業者でなければ、発注元はインボイスを手に入れられず、仕入税額控除ができなくなってしまいます。さて、課税事業者や免税事業者、仕入税額控除など、聞いたことはあっても意味がよくわからないという方も多いでしょう。それぞれ深堀します。

課税事業者とは

課税事業者とは、年間の売上が1,000万円以上の事業者のことです。課税事業者は、売上に含まれる消費税の納税が必要になります。

免税事業者とは

免税事業者は年間売上1,000万円以下の事業者のことです。免税事業者は消費税の納税は不要となり、取引で得た収入分の消費税は、そのまま受け取れます。

仕入税額控除とは

仕入税額控除とは、売上の消費税額から、仕入れ時に発注元に支払った消費税額を控除できる制度です。たとえば、5,500円(税込)で仕入れた商品を、7,700円(税込)で販売するとします。

売上は7,700円(税込)となり、消費税分は700円ですが、仕入れ時に500円の消費税を支払っているため、500円は仕入税額控除の対象となり、実際の納税額は200円で済みます。これが、仕入税額控除です。仕入税額控除は、取引の金額によっては何万円、何十万円と会社のお金を左右します。そのため、できるだけ仕入税額控除をしたいという会社がほとんどです。

インボイスと区分記載請求書の違いは?

インボイス制度は2023年10月から始まるものですが、似たようなもので区分記載請求書が存在します。区分請求書とインボイスの違いは、記載されている項目にあります。それでは、この2つにどのような違いがあるのでしょうか?

結論から言うと、区分請求書とインボイスの違いは記載されている項目にあります。

区分請求書に記載する内容は以下の5点です。
①請求書を発行した事業者の名前
②取引の年月日
③取引の内容
④取引で発生した合計金額(税率ごとに区分して記載する必要あり)
⑤請求書を受け取る事業者の名前

インボイスの作成には、これらに加えて以下の3点が必要になります。
①登録番号(課税事業者のみ登録できる)
②商品に対して適用した税率
③税率ごとに分けた税金の額

このように、インボイスは区分請求書と比べて記載する項目が増えています。つまり、インボイスは区分請求書をより詳しくしたものであるということです。インボイスの作成では、項目の追加に伴って準備することも増えます。インボイスを作成する前に、どんな準備が必要なのかをしっかり確認しておきましょう。

インボイス制度の導入によるフリーランスへの影響

同じフリーランスでも「課税事業者」か「免税事業者」かによってインボイス制度による影響が変わります。インボイス制度が及ぼす影響を、事業者別で見ていきましょう。

課税事業者への影響

課税事業者の場合、インボイスの交付ができるので、直接売上を左右するような影響はありません。ただし、インボイスは税率や税額を細かく記載しなければならないため、経理処理が複雑になるデメリットがあります。
インボイス制度とは、仕入税額控除に必要な適格請求書(インボイス)を交付・保存する制度です。インボイス制度導入後は、一定の条件を満たした適格請求書が発行・保存された取引のみ、消費税の仕入税額控除が適用されます。

課税事業者とは、消費税を除いた売上が1,000万円以上あり、消費税の納税が義務付けられた事業者のことをいいます。すでに課税事業者になっている場合は、消費税の納税義務への直接的な影響はないでしょう。

しかし、免税事業者にもインボイス制度の導入において、対応・検討するべきことがあります。それは、適格請求書発行事業者の登録申請をすることです。

適格請求書発行事業者になるには、税務署に登録申請書を提出します。登録番号の通知を受けたのちに、適格請求書発行事業者として認定されます。認定後には適格請求書を発行できます。

取引先の課税事業者は、取引にかかる消費税額分を仕入税額控除の対象とできるため、今までどおりの取引を続けることが可能です。

ただ、取引先の事業者が免税事業者の場合、適格請求書を発行してもらえません。適格請求書を発行してもらえないと、仕入税額控除の対象外になり、自身の納税額が増えてしまう可能性があることを覚えておきましょう。

免税事業者への影響

インボイス制度は、フリーランスの中でも年間の売上が1,000万円以下の「免税事業者」に大きな影響を与えます。先ほどお伝えしたように、インボイスを交付できる受注元は「課税事業者」だけです。免税事業者は、インボイスの交付ができません。インボイスの交付ができないと、発注元は仕入税額控除を受けられないため、より多くの税金を納めなければならないのです。

すると発注元は「なるべく節税ができるよう、仕入税額控除を受けられる課税事業者と取引をしたい」と考えます。そのため免税事業者は、発注元側から取引を打ち切られてしまう可能性が出てくるのです。取引を継続しても、消費税分の減額を求められることもあります。どちらにせよ、売上が大幅に減る可能性が高いのです。
免税事業者はこれまで、売上高が課税期間中1,000万円未満のときは、消費税の納税が免除されていました。しかし、免税事業者のままでは、適格請求書を発行できないため、納税免除の恩恵が受けられなくなります。

免税事業者とは、消費税の課税期間において、課税売上額が1,000万円未満の事業者のことをさします。取引する相手の事業者が免税事業者の場合は、基本的に特別な対応は必要ありません。しかし、取引先が課税事業者の場合は、注意が必要です。

免税事業者は、適格請求書(インボイス)の発行ができないため、課税事業者は取引にかかった消費税額を負担しなければならず、損をすることになります。そのため、課税事業者(インボイス対応事業者)は、インボイスに対応していない免税事業者との取引を取りやめる可能性もあります。

新しく取引先を探す際にも、免税事業者であることはマイナスの要因となってしまい、仕事が取れなくなるおそれもあります。取引を続けていくためには、課税事業者に転換するのも選択肢となりますが、課税事業者になると消費税を納付する義務が生じるため、大きな負担がかかってしまうというデメリットがあります。

インボイス制度導入の影響は、自身が消費税の課税事業者か免税事業者かにより、異なることを覚えておきましょう。

課税事業者になると特例の対象となる

インボイス制度導入において、免税事業者が課税事業者になるべく手続きを行った場合、納税額の負担を軽減する措置として「少額特例」「2割特例」の2つが設けられました。

ここでは、その2つの特例について詳しく解説していきます。

少額特例

少額特例とは、少額(税込10,000円未満)の課税仕入については、適格請求書を保存しなくても、一定の事項を記載した帳簿を保存すれば、仕入税額控除が可能になるという制度です。

取引先が課税事業者か免税事業者かは、少額特例の適用に影響しません。しかし、インボイスの保存が必要ないだけなので、取引先からインボイスの発行を依頼された場合は、少額の取引でも対応する必要があります。

少額特例の運用対象者は、次の2つです。

・基準期間における課税売上高が1億円以下
・特定期間における課税売上高が5,000万以下

基準期間とは、個人事業主の場合、対象となる年の前々年が基準期間になります。法人の場合は、事業年度が1年のとき、対象事業年度の前々年が基準期間になります。少額特例の対象になるのは、この期間の課税売上高が1億円以下の事業者です。

特定期間とは、個人事業主の場合、前年1月から6月までの期間です。法人の場合は、前事業年度開始日以降6か月間をさします。この期間に課税売上高が5,000万円以下の事業者は少額特例の対象となります。

少額特例には適用期間が設けられています。2023年10月1日~2029年9月30日までの課税仕入が対象になるため、注意が必要です。

2割特例

2割特例とは、免税事業者がインボイス制度を機会に課税事業者となったとき、消費税の納税額を一定期間のみ売上税額の2割に軽減する、というものです。

消費税の免税事業者が、適格請求書発行事業者の登録をして課税事業者になった場合に、最長3年間の軽減措置が受けられます。期間は、2026年9月30日が入る課税期間が対象となります。

2割特例を利用できる事業者の条件は、次の3つです。

・適格請求書発行事業者の登録が済んでいる
・インボイス制度がなければ、課税事業者にならなくてもよかった事業者
・課税期間の短縮特例を受けていない

インボイス制度開始により、免税事業者から課税事業者に変更することになった事業者が対象です。インボイス制度がスタートする前(2023年10月1日)から課税事業者になっている場合は、対象外となります。

また、課税売上高が1,000万円を超える場合も、対象にはなりません。

2割特例には、さまざまなメリットがあります。納税額が2割になるので、節税に効果があります。また、2例特例は計算が比較的楽であり、対価の返還などを含めずに「預かり消費税×80%」のみなのでシンプルです。

また、2割特例は事前の手続きは不要です。簡易課税では簡易課税制度届出書を提出しなければなりませんが、2割特例では、申告書に「2割特例の適用あり」と記入するだけです。

2割特例は申告時に毎回、2割特例もしくは本則課税のどちらかを選択できるのもメリットといえます。

フリーランスがインボイス制度導入までに準備するべきこと

ここからは、フリーランスの方がインボイス制度導入までにするべきことを見ていきましょう。

課税事業者は税務署への申請を忘れずに

課税事業者の方は、適格請求書発行事業者登録の申請をしましょう。事業を行っている地域の管轄の税務署で申請可能です。申請して登録をすれば、インボイスの交付ができます。2023年10月からすぐにインボイス制度を利用するためには、2023年3月31日までに登録が必要です。すでに申請の受付は開始しているため、早めに申請をしましょう。

会計ソフトをインボイス制度対応のものに

インボイス制度が導入されると、経理処理が複雑になります。インボイス制度導入後に経理処理に慌てないよう、会計ソフトを見直しましょう。現在の会計ソフトがインボイス制度に適していない場合は、インボイス制度に適したものに切り替えることをおすすめします。

請求書のフォーマットを見直す

インボイス制度を利用するには、請求書であるインボイスに必要事項を記入しなければなりません。きちんとインボイスとして認められるよう、記載するべき内容を確認して、インボイス制度対応のフォーマットを作成しましょう。

インボイスに記載しなければならないのは、インボイス登録事業者の氏名or名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価額合計、税率ごとの消費税額、書類の交付を受ける事業者の使命or名称です。1項目でも漏れがあるとインボイス制度を利用できないため、漏れのないようにフォーマットを作成してください。

免税事業者は課税事業者になるか検討を

現在免税事業者の方は、課税事業者になるか検討をしましょう。免税事業者はインボイス制度によって売上に影響する可能性が高いため、インボイスが交付できる課税事業者になるのも一つの手です。年間の売上が1,000万円以下であっても、消費税課税事業者選択届出書と提出すれば、課税事業者になれます。

また、インボイス制度導入後6年間は経過措置期間とされており、その間は適格請求書発行事業者の登録をすれば、消費税課税事業者選択届出書は提出しなくて済みます。経過措置期間に申請した場合は、2023年10月から課税事業者に切り替わります。もし、免税事業者から課税事業者に切り替えたい場合は、経過措置期間中に申請するといいでしょう。

ただし、課税事業者になると、今まで免税されていた消費税を納めなければいけません。そのため、課税事業者になっても手元に入る収入は減ってしまうのです。納税義務はなくても取引に影響が出やすい免税事業者のままでいるか、納税義務は発生するけど取引に影響の出にくい課税事業者になるか、どちらのほうがいいかを自分の状況に合わせて検討しましょう。

インボイス制度における政府の支援について

インボイス制度を利用するには、さまざまな手続きが必要です。手続きは所得金額で異なるので、分からなくなる方も多くいます。そんな方のために、政府はインボイス制度の支援として専用ダイヤルをはじめました。インボイス制度で分からないことがあれば、こちらに問い合わせしてください。

①インボイス制度に関する専用ダイヤル(無料)
0120-205-553
【受付時間】9:00~17:00(土日祝除く)

②軽減税率電話相談センター(無料)
0120-205-553
【受付時間】9:00~17:00(土日祝除く)

まとめ

今回はインボイス制度について解説しました。インボイス制度は、フリーランスの方、とくに免税事業者の方に大きな影響を与えます。また、課税事業者の方でも、申請をしなければインボイスの交付ができません。そのため、2023年10月までに税務署で申請をしてください。インボイス制度導入後に向けて、ご自身の状況に合わせた準備をしておきましょう。

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